インボイスの基本パターン
仕入税額控除の要件としてインボイスの保存が必要となります。
インボイスにはいくつかの基本パターンがあります。この基本パターンさえ押さえておけば後は組み合わせで対応ができます。
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仕入明細書とは
仕入明細書とは、買い手から売り手に対して、支払額を通知する書類すべてが該当します。消費税法の用語ですので、実際にはまったく別の名称(支払通知書や仕入計算書など)だったりします。
書類 | 書類の流れ | 仕入税額控除の要件 |
---|---|---|
適格請求書 | 売り手 ➡ 買い手 | 買い手が適格請求書を保存する |
仕入明細書 | 買い手 ➡ 売り手 | 買い手が仕入明細書を保存する |
買い手は自分が作成した仕入明細書を保存することで、支払額部分の仕入税額控除ができます。仕入明細書は適格請求書の代わりになるということです。そう理解すると、仕入明細書の記載事項は適格請求書と同じだということがイメージできると思います。ただし、売り手の確認を受けるなど一定の要件があります。
仕入明細書の記載事項
仕入明細書の記載事項は適格請求書と同じです。下表は対応関係が分かりやすいように、仕入明細書の記載事項の順番を入れ替えたものですが、売り手側の用語が買い手側の用語に入れ替わっていることが分かります。
- 適格請求書発行事業者 ➡ 課税仕入の相手方
- 課税資産の譲渡等 ➡ 課税仕入
- 書類の交付を受ける事業者 ➡ 仕入明細書の作成者
適格請求書 | 仕入明細書 ※ | |
---|---|---|
① | 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号 | 課税仕入の相手方の氏名又は名称及び登録番号 |
② | 課税資産の譲渡等を行った年月日(一定の期間) | 課税仕入を行った年月日(一定の期間) |
③ | 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨) | 課税仕入に係る資産又は役務の内容(課税仕入が他の者から受けた軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨) |
④ | 課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率 | 税率ごとに合計した課税仕入に係る支払対価の額及び適用税率 |
⑤ | 税率ごとに区分した消費税額等 | 税率ごとに区分した消費税額等 |
⑥ | 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称 | 仕入明細書の作成者の氏名又は名称 |
各記載事項の補足は適格請求書の説明をお読みください。ここでは、仕入明細書の特有の論点のみ解説します。
買い手が売り手の登録番号を記載する
仕入明細書は買い手が作成する書類です。しかし、適格請求書と同様に取り扱われると考えれば、売り手の登録番号が記載されていなければならないことは理解できるでしょう。
売り手の登録番号は、相手先からを教えてもらうか、国税庁のホームページで確認してください。
”税抜金額”では要件を満たさない?
仕入明細書の記載事項④は「税率ごとに合計した課税仕入に係る支払対価の額及び適用税率」です。この支払対価の額は、いわゆる”税込金額”のことです。
”税抜金額”はダメなのかという疑問が湧きますが、”税抜金額”と”消費税額”が記載されていれば、”税込金額”として取り扱って良いと、国税庁がQAで回答してくれています。
”消費税額”は⑤で記載事項として定められているので、結局のところ、”税抜金額”と”税込金額”のどちらを記載しても問題ありません。
売り手の確認を受ける必要あり
仕入明細書で仕入税額控除をとるためには、仕入明細書の交付相手(売り手)から内容確認を受けることが必要です。交付相手から確認を受けたかどうかは次の方法により証明します。
- 通信回線等を使って相手方に仕入明細書を提示し、確認の通信を受けたうえで、自己の端末機から出力する(例:オンラインシステム上での確認)
- インターネットや電子メールなどで相手方に仕入明細書等の内容に関するデータを提供して、確認の通知等を受ける(例:メールでの確認のやり取り)
- 相手方に仕入明細書を交付した後、一定期間内に連絡がない場合に、自動的に確認があったものとする(例:「送付後一定期間内に誤りのある旨の連絡がない場合には記載内容のとおり確認があったものとする」といった文言を仕入明細書に記載しておく)
上記はあくまで例示ですので、何かしらの方法で交付相手先の確認を受けたことを証明できれば問題ありません。データや書面で残しておきましょう。